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日本酒と料理の相性ティスティング勉強会

スタッフブログ 2017.06.14

今年2017年日本ソムリエ協会より新しい日本酒の認定制度が発足しました。それが「J.S.A.SAKE DIPLOMA」。
日本の食文化のより一層の普及と向上に繋がるものと考えられた日本酒に特化した認定制度です。

この「J.S.A.SAKE DIPLOMA」は、日本酒の基本知識に加え料理との食べ合わせの知識が求められる内容です。
刺身一つ取ってみても、白身、赤身、青身と種類があり素材の持つ要素は異なります。
日本酒も素材にあった要素で食べ合わせることで単体では得られない美味しさが表現されます。

今回の勉強会は、蔵元、飲食店、酒販店、普段違う立場で「料理」と「日本酒」に接しているもの同士が一同に介し、食べ合わせについて探求し意見交換をすることで、新しい発見の機会になればという思いで実施されました。


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【1】まず日本酒だけでティスティング

用意された日本酒はセオリーにある特徴に合わせて12種
香り、色、味と日本酒そのものの特徴をつかみます。

SAKE DIPLOMA_201706_2

◎日本酒12種
01:甘味と旨味のバランスの良い純米酒
「宝剣 純米 八反錦」
02:酸度・アミノ酸度のやや高い山廃系純米酒
「酒屋八兵衛 山廃純米酒」
03:酸度のややしっかりした純米酒
「神雷 純米 山田錦 赤ラベル」
04:まろやかな味わいの特別純米酒
「田中六五 純米酒」
05:白ワインを思わせる
「戦勝政宗 特別純米」
06:イエローがかった山廃系
「玉櫻 生もと純米 改良雄町」
07:ふくよかな味わいと爽やかな酸を感じる
「大信州 超辛口 純米吟醸」
08:上品な甘み
「みむろ杉 純米吟醸 山田錦 火入」
09:熟成により黄金がかった
「白鴻元晴 瓶燗火入 純米千本錦 26BY」
10:香り甘味華やか
「モダン仙禽 無垢」
11:飲み飽きしない
「御前酒 the silence Clean Reverb」
12:香り穏やかで爽やかな酸
「富久長 海風土 シーフード」

[2]次に料理と日本酒との相性を試していきます。
料理は、テキストの六味五法、食材の分類に従い12種準備されました。
●食材=魚介、野菜、肉・その他
●調理法(五法)=生、炊き・蒸し、焼き物、揚げ、その他
●味(六味)=塩、甘、酸、淡、苦、辛(濃)、他

◎料理13種(食材/調理法/味)
01・鰹出汁
02・刺身の盛り合わせ
03・白和え
04・ローストビーフ
05・カラスミ
06・稚鮎焼
07・青菜炒め
08・めばる煮
09・麻婆豆腐
10・茶碗蒸し
11・南蛮漬け
12・岩牡蠣
13・ガトーショコラ

日本酒12種×料理13種、様々な食べ合わせが試されました。
特に皆さんの反応が大きかったものや、印象深かったものをご紹介します。

●発見が多かったのが「刺身の盛り合わせ」
お刺身には日本酒、どれも合うと思われがちですが、白身・赤身・青身であうお酒が全然違います。

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◎鯛の白身+穏やかながら優しい甘味のある香りの宝剣
→合いますね。白身の甘味と宝剣の甘味が同調。引き立てあいます。

◎青魚代表アジ+タンニンを感じる渋味と力強い旨味に後半の辛口の酒屋八兵衛
→お酒の個性と青身がうまく同調。しかも同調が長い。
双方の旨味が引き立つ。今回薬味はアクセントになります。今回、薬味が素晴らしくシソ、ミョウガ、ネギがミックスされた繊細かつアクセントがありポイントになりました。

◎赤身はマグロの漬け+しっかりした旨味と後半に甘味・酸味がくるバランスの良い神雷
→合います。このマグロの漬けの旨味と神雷の旨味の相乗効果。鉄分を感じることなく懐の深い神雷が包みます。

セオリーにはないけれど、イカに白ワインを感じさせる酸味と甘みのある戦勝政宗
合います!イカの甘味を爽やかにしてくれる!そしてまたイカを食べたくなる。そしてまた飲みたくなる。永遠のループです。

思い思いに食べ合わせを試していきます。
お刺身の盛り合わせだけでいろんな発見がありました。

飲食店の方からは「”お刺身盛り合わせと日本酒三種”というメニューしたいくらい面白いね。」
という話が出た大変盛り上がりました。

●反応が大きかったのが「野菜の白和え+田中六五」

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まろやかな味わいの特別純米酒と程よい酸をもつ田中六五。
白和えの大豆や胡麻の風味、穀物系を引き立てます。
田中六五のキリっとした酸ときれいな余韻。
すごい!これはいいね!とあちこちから声が上がっていました。

●セオリー通りだけど予想以上の「青菜炒め+みむろ杉」

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青菜炒めは油を使っているので「油」を切る日本酒が提案としてみむろ杉が選択されました。
ミネラル感があり上品な甘味としっかりした旨味のみむろ杉。
油をスッキリさせてくれ、青菜の苦味、みむろ杉に膨らみが出てきます。
ガーリックの味付けとも合う!これは発見でした。

あちこちで「このガーリックって何に合う?」
いろんなところで「ガーリックとみむろ杉いいよ」など「ガーリック」が連呼され、それぞれに発見をされていました。
和食ではあまり使われないガーリックですが日本酒とも相性よく、中華料理とも好相性!いろんな発見があります。

●今回驚いたのが「稚鮎焼+モダン仙禽」

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稚鮎は頭、腹わた、尻尾(白身)部位ごとに味わいが違います。
加えてライムなど柑橘を搾ると表情がまた変わります。
◎稚鮎の腹わた+モダン仙禽
香り華やかで甘味のある仙禽は、お酒単体だと飲み易いですが、食中酒としては好みがわかれるところです。
それが稚鮎の腹わたと合わせると、なんと大人の味わいに変化!!
華やかな香りと甘味は、料理を邪魔をすることなく「変化(香味が合わさり変化がおきる)」を見せました。食べ合わせてみないとわからない、面白い世界です。

稚鮎焼き合った日本酒は
・尻尾(白身)+大信州のさわやかな酸と稚鮎焼きの香ばしさ&塩焼きの塩味ととても合う!
・腹わた+ミネラル感があり上品な甘味としっかりした旨味のみむろ杉も仙禽のような変化
・ライムを搾ると富久長の酸ととても良く合いました。

この他にも相性が良かったものは沢山ありました!
・南蛮漬け×富久長 海風土シーフードの酸と同調とても美味しいです。
・生牡蠣×富久長 海風土シーフードの純米酒のクリーミーさと岩牡蠣のミルキーが引き立てあう。
・ガトーショコラ×モダン仙禽
・カラスミ×玉櫻
・麻婆豆腐×神雷
などなど

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あれよあれよと盃は進み、気づいたらテーブルはこのような状態。

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「食の楽しみを知ると人生はもっと豊かになる
それをもっと多くの方に知ってもらいたい」
と、感想を言われている方がいました。

蔵元、飲食店、酒販店、日々それぞれの分野で切磋琢磨し、それぞれの感性が出会いまた新しい何かが生まれる。
皆様、貴重なお時間をありがとうございました!!

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◎今回使用した日本酒はこちらで購入できます。

▽宝剣 純米 八反錦

▽酒屋八兵衛 山廃純米酒

▽神雷 純米 山田錦 赤ラベル

▽田中六五 純米酒

▽戦勝政宗 特別純米

▽大信州 超辛口 純米吟醸

▽みむろ杉 純米吟醸 山田錦 火入

▽白鴻元晴 瓶燗火入 純米千本錦

▽モダン仙禽 無垢

▽御前酒 the silence Clean Reverb

▽富久長 海風土 シーフード